中小企業法務 事例紹介

弁護士との関わり方

顧問弁護士という言葉はよく聞くけど、弁護士が何をしてくれるかわからない。

簡単な書類作成なら、総務でも作れるし、あえて弁護士にお金を払う必要性を感じない。

そのようにお考えの方に、ある会社と弁護士の関わり方をご紹介します。

A社について

A社は、20年前に台東区で創業した会社です。文具店を都内に10店舗展開しています。

従業員は本社に5人、各店舗には正社員・アルバイト含めて、各5~6人勤めています。本社では、少ない人数で各店舗の在庫管理と発注作業・人事・店舗の契約関係・客からのクレーム対応をしており、毎日忙しく過ごしています。

事務作業やクレーム対応に時間を割かれるのは人件費の無駄と考え、2年前から顧問弁護士を雇っています。顧問料は月額5万円で、いつでも電話やメールで法律相談にのってもらっています。

新規店舗出店と契約書のチェック

A社では、新規店舗を出店することになりました。契約審査も済んで出店できる見込みとなり、管理会社からは賃貸借契約書の案が送られてきました。

担当の田中さんは、社長の指示で、弁護士に契約書のチェックをお願いすることにしました。「新規店舗の契約書です。チェックお願いします。」と簡単に本文に書いて、弁護士に契約書をメールしました。


 

数時間後、弁護士から電話がかかってきました。

弁護士 「契約書拝見しました。14条の違約金条項の文言があいまいで、これだと御社の責任が不当に重くなるリスクがありますね。」

田中 「なるほど。そうすると、管理会社にはどう伝えたらいいですか。」

弁護士 「私のほうで修正案を作って送りますので、社内で検討していただいて、よければ管理会社には修正案を渡してください。弁護士から指摘を受けたので、と伝えれば、交渉しやすいかと思いますよ。」


 

しばらくすると、田中さんのところに弁護士からメールが届きました。田中さんは、社長にも確認して、管理会社に修正案を送り、契約書を修正して契約することができました。

ポイント いつもの契約書にも、法的な問題点が潜んでいます。訴訟経験がある弁護士だからこそ、一般の方には気づきにくい条項のリスクにも気づくことができます。
A社のメリット 弁護士に電話一本するだけで、A社は被ったかもしれない数百万円のリスクを防ぐことができました。法律相談の予約も必要なく数時間後にはメールや電話で回答がくるので、時間の短縮にもなりました。

店舗退去と原状回復

新規店舗の出店に伴い、既存の不採算店舗をたたむことになりました。管理会社に賃貸借契約解除の通知もすませ、退去の日取りは2週間後に決まりました。A社の担当の佐藤さんは、退去前に管理会社と原状回復の打ち合わせを行いました。すると、突然、管理会社からは、店舗の外にある立て看板を撤去するように言われてしまいました。撤去費用は100万円ほどかかりそうです。退去まで時間的余裕もないので、佐藤さんは、あわてて弁護士に電話しました。

 


 

佐藤 「・・・という次第なのです。立て看板は、当社が出店する前から設置されていたもので、当社は、看板のレイアウトを塗り替えて使用しただけという記憶です。ただ、問題の店舗が出店したのは15年ほど前のことで、出店当初の写真も残っていません。どうしたらよいでしょうか。」

弁護士 「契約内容を確認したいので、賃貸借契約書のコピーを送っていただけますか。」

佐藤 「すぐ送ります。」

佐藤さんが契約書をメールで弁護士に送信すると、10分後に弁護士から電話がかかってきました。

弁護士 「契約書を確認しましたが、原状回復の条項の内容は一般的なもので、特記事項もありませんでした。立て看板を誰がいつ設置したかということが争いになりそうですが・・・出店当時に既に看板が設置されていたことがわかる写真はないということでしたね。では、看板のレイアウトを塗り替えたということなので、塗装の際の発注書や領収書は残っていませんか。」

佐藤 「確認してみます。」

古いファイルを探してみると、発注書が残っていたので、佐藤さんは弁護士にメールで送信しました。

弁護士 「発注書を確認しました。幸い、発注書には細かく項目が書かれていて、“前店舗看板レイアウト除去”という項目がありますね。この記載からは、既に看板が設置されていて、御社が看板レイアウトを塗り替えただけだという事実が推認できます。管理会社には、この発注書のコピーを送って、撤去費用は負担できないと伝えてみてください。」

佐藤 「わかりました。それでも管理会社がひかなければどうすればいいですか。」

弁護士 「譲歩してまとめたいのであれば、看板の御社名を塗りつぶす費用だけを負担するということでもよいと思います。どうしても交渉が難航するようであれば、私が管理会社に電話してもいいですよ。」

佐藤 「交渉の費用は顧問料以外にかかりますか。」

弁護士 「そうですね。電話一本ですむようであれば、特に追加の費用はいただきません。長引くようであればご相談しますが、5万円くらいですむかと思います。」

佐藤 「わかりました。社長にも確認してみます。」

 


 

結局、佐藤さんは、管理会社に発注書のコピーを送り、看板の社名を塗りつぶすことで和解しました。いざとなれば弁護士が代わりに交渉してくれるという安心感があったので、余裕をもって交渉にあたることができました。

ポイント 弁護士に電話一本することで、客観的な視点から、有利な証拠として何を探せばよいかアドバイスを受けることができます。
A社のメリット 不当な撤去費用を負担することを避けることができました。万が一、交渉が難航しても、そのまま顧問弁護士に交渉を依頼すればいいので弁護士を新たに探す手間と時間が節約できますし、費用も安く抑えることができる見込みでした。

店舗のクレーマー対応

新規店舗の出店も無事済ませ、経営も軌道に乗ってきました。あるとき、雨の日にやってきた買い物客が、足ふきマットが濡れていたため、滑って転倒してしまいました。店長の丸井さんが対応しましたが、その客は、当日歩いて帰り、特に大けがもしていないように見えました。

ところが、3日経ってから、同じ客が松葉づえをついて店舗にあらわれ、足を骨折したから治療費と慰謝料として50万円支払えと請求してきました。丸井さんは、ひとまずその場は、本社に相談しますと言って客には帰ってもらいましたが、対応に困って弁護士に電話しました。

 


 

丸井 「当日は怪我の治療をするか救急車を呼びましょうかとお声がけしたのですが、大丈夫大丈夫と言われて、元気そうに帰っていったんです。突然のことで、私どもとしても対応に苦慮しているのですが・・・。」

弁護士 「もし本当に転倒して骨折したんだとすると、損害賠償責任が生じてしまうかもしれませんね。ただ、当日歩いて帰ったということは、そのときに骨折したかどうか疑わしいですね。防犯カメラの映像は残っていないんですか。」

丸井 「ちょうど映像は残っていました。転倒直後に、歩いている様子が映っています。」

弁護士 「それであれば、もし訴訟になったとしても戦う材料はありそうですね。クレーマーには、断固とした対応が必要です。防犯カメラの映像があることも示唆しながら、丁重にお引き取り願いましょう。とはいえ、大事になって評判が悪くなるのもよくないので、お見舞金という形で数万円お支払しておさめてもいいとは思います。そこは経営判断なので、お任せしますよ。」

丸井 「社長に相談してみます。」

その後、丸井さんが社長に相談すると、クレーマーは許せないので断固戦うようにとの指示を受けました。

丸井 「・・・ということなので、先生に交渉をお願いできますか。」

弁護士 「わかりました。訴訟も辞さないというお気持ちなのであれば、交渉はすぐに片が付くと思います。ひとまず追加料金なしでお電話します。」


 

その後、弁護士から客に電話をすると、客は二度と店舗に訪れることはなくなりました。

ポイント 悪質なクレーマー対策も、現場の従業員が対応すると時間もとられますし、受けるストレスも小さくありません。弁護士であれば、会社から一歩離れた立場である程度強気の交渉ができますし、クレーマーに対しても断固とした対応をとることができます。
A社のメリット クレーマー対応で従業員の時間をとられるのを防ぐことができました。

従業員の解雇

A社では、最近になって経理担当の従業員の山田さんを雇いました。山田さんは、前職の会社で、経理関係を一手に引き受けていて、経験も10年に及ぶということで、A社は即戦力として山田さんを採用しました。ところが、入社して1か月もたたないうちに、無断遅刻や無断欠席を繰り返し、ミスも多く、言い訳ばかりで周囲とのコミュニケ―ションもとれず、経理関係の知識も素人に近いことがわかりました。山田さんの作業のやり直しを他の従業員がすることで時間も倍以上かかってしまい、やめてもらったほうがA社の利益になるという状況でした。そんなとき、A社の社長が弁護士に電話で相談してきました。

 


 

社長 「本当に騙された気分です。即刻解雇したいのですが、どうでしょうか。」

弁護士 「能力不足と経歴詐称による解雇ということですね。前職では本当に経理関係の仕事をしていたのでしょうか。」

社長 「思い切って電話で聞いてみたのですが、あいまいに口をにごして教えてくれませんでした。おそらく、前職でもかなりの問題児だったのでしょうね。」

弁護士 「解雇となると、裁判所は厳しい見方をします。特に能力不足を理由とする解雇は、客観的な判断も難しいので、緻密に材料集めをしないと後々戦えなくなります。解雇をした後で裁判になって負けてしまうと経済的負担も大きいので、今のうちに、まとまったお金を支払って退職してもらうことはできませんか。」

社長 「同僚の話によると、本人はまったく退職するつもりはなさそうです。」

弁護士 「そうすると、裁判を見据えて材料を揃えてから解雇を検討したほうがよさそうですね。今後は、何かミスをすることがあれば、始末書を山田さんに書かせるようにしてください。上司がミスを発見したら、報告書と、ミスが明らかにわかるような書類も保存しておいてください。ある程度揃ってから、退職勧奨をし、応じなければ解雇に踏み切りましょう。ただ、解雇した後、山田さんは解雇を争ってくる可能性が高いと思いますが、さきほどのような材料がそろっていても、完全に勝てるかはわかりません。そこだけは念頭に置いておいてください。」

社長 「わかりました。多少出費があっても、このまま在籍を続けるほうが会社にとってマイナスなのでやむを得ません。」

 


 

その後、始末書が何枚かたまったところで、A社は山田さんを普通解雇しました。山田さんは、解雇を争ってきましたが、山田さんの代理人弁護士に始末書や資料を見せることで解決金の減額に成功し、ほどほどの金額を支払って示談することができました。

ポイント 解雇・出向・減給などの人事関係は、少し間違えるだけでも足元をすくわれます。後々の裁判を見据えた対応を弁護士と事前に相談してから対応することが重要です。
A社のメリット 今後の展開に関する情報を弁護士から事前に聞くことができ、対策を練ることで、経済的負担も抑えることができました。

最後に

いかがでしたでしょうか。

以上でご紹介したのは、あくまでもひとつの例です。会社によって、弁護士を必要とする頻度も、必要とする関わり方も違ってきます。

個別にご相談いただくことにより、顧問料や関わり方のプランを設定することもできますので、お気軽にご紹介ください。

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