2017.08.09更新

度重なる相続により、不動産の共有関係が複雑化しているケースがあります。

 

もともと3代前のおじいちゃんが持っていた土地だったんだけど、お父さんの兄弟3人が3分の1ずつ相続して、さらにその兄弟のなかにも亡くなった人がいるから、さらに共有者が増えている。

あげくの果てには、そのうちの一部はよくわからないサラ金から借金していたのか、借金の代物弁済として持分をサラ金に譲渡してしまっている。

 

親族だけならまだしも、よくわからない業者まで共有者にいるのだと、このまま持分を相続するのも怖い。

 

こうした場合、確かに相続放棄すれば持分は相続しませんし、不動産の管理費用(固定資産税の清算など)も支払う必要がありません。

しかし、不動産が都市部に所在するなどそれなりの換価価値が見込める場合、すぐに相続放棄というのはもったいない気がします。

 

まずは被相続人に借金がないか調べることが前提ですが、借金を考慮しても余りある不動産の価値、ということであれば、相続した上で善後策を考えるのも手です。

 

不動産を共有している場合、話し合いで共有者のうちの一部が他の共有者の持分を買い取ったり、あるいは全員が共同で第三者に売却することができます。

なかには、こうした係争物件や持分を専門に取り扱っている業者もいるようです。

(この場合、通常のルートで市場に出すよりは安価になってしまうのはやむを得ないでしょう)

 

それでも話し合いが難しいケースですと、裁判所に、共有物分割訴訟を提起して、前記同様の解決を求めることができます。

裁判所は、不動産の占有関係などを考慮して、どのように共有物を処理すべきかを判断します。

 

売却により換価価値を配分するのが相当であるにもかかわらず、一部の共有者が同意しない場合は、裁判所から競売の判決を出してもらうこともあります。

弁護士が代理人に入っていると、競売の判決を一応保険で出してもらった後で、一般には競売にせず市場で売却したほうが高値で売れますから、判決を全体に、共有者を改めて説得して、市場で売却することも多いです。

 

なお、相続がからむ不動産を売却する場合、うかつな処理をすると予期せぬ税負担が膨らむことがありますので、税理士への相談は必須です。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.08.03更新

土地を賃貸借により借り受けている場合、定期的な地代を支払う他に、一定のタイミングで承諾料などの一時金を支払う必要があります。

 

1 借地権の譲渡承諾料

 

借地の上に建物を建てていて、その建物を売却する場合、借地権も一緒に売却することになります。

しかし、借地権は地主の許可なく売却することはできませんので、地主の許可を求めることが必要です。

賃貸借契約書に、「許可を得ることなく転売することができる」などの特別な条項がない限りは、地主の許可は絶対必要です。

地主に黙って勝手に売却したりすると、無断転売ということで賃貸借契約を解除されてしまいます。

そうなれば、当然、まとまっていた建物売却の件も流れてしまいますし、場合によっては買主から違約金も請求されかねません。

 

地主の許可を得る場合、承諾料を支払うのが一般的です。

その金額は、土地柄や今までの承諾料支払状況などによっても変わってきますが、

借地権価格の10%

と言われることが多いです。

建物と借地権の売買で利益を得るのだから、そのうちいくらか支払ってくださいということですね。

賃借人変更によって、地主も契約締結の手間や、新しい賃借人を迎えるリスクを負うわけなので、その対価という見方もあると思います。

 

2 借地条件変更承諾料

 

現行の賃貸借契約書では、使用目的が「木造建物の所有」となっているのに、鉄骨造建物に建替えたい場合があります。

この場合も、賃貸借契約書にそれを許す旨の定めがない限りは、地主に無断で建替えてはいけません。

賃貸借契約書の使用目的を変更する、すなわち、借地条件を変更するため、地主に許可を得る必要があります。

 

この場合も、許可を得るために承諾料を支払うのが一般的です。

その金額は、

更地価格の10%

と言われることが多いです。

端に、「鉄骨造建物に建替えたい」というだけでは、地主も判断のしようがありませんから、地主の理解を得られるよう、できるだけこまめに連絡をとり、可能な限り、図面や工程表などを示して丁寧に説明したほうが、承諾は得られやすいでしょう。

 

3 増改築許可承諾料

 

現行の賃貸借契約書の使用目的を変更せず、離れを増築したい場合があります。

この場合も、賃貸借契約書に増改築を許す旨の定めがない限りは、地主に無断で増築してはいけません。

増改築につき、地主に許可を得る必要があります。

 

この場合も、許可を得るために承諾料を支払うのが一般的です。

その金額は、

更地価格の3~5%

と言われることが多いです。

だいぶ幅がありますが、改築前の建物との用途や規模の差異などを考慮して交渉していきます。

 

増改築の場合も、地主の理解を得るために、資料を示しながらこまめに連絡をとり、誠意を示したほうがよいでしょう。

 

以上の金額は、一般的な相場ですので、具体的な地主と賃借人の力関係や契約の経緯によっても変わってきます。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.07.24更新

不動産を相続人に相続させる、とした遺言がある場合、指定された相続人は、他の相続人の協力を得ることなく、単独で相続登記をすることができます。

そうすると、相続登記をした不動産は、所有権を第三者に自由に売却することができます。

 

仮にその不動産に、他の相続人が居住していたとしても同様です。
(もちろん、そのような不動産を買う人がいるのかというのは別問題です。)

 

遺言が実は無効なものであるとか、遺留分があるので不動産の持分があるとかの事情があったとしても、売却先がそういった事情を知らない限り、不動産を取り戻すことは原則できません。金銭解決ができるかどうかです。

 

では、不動産に居住している相続人としては、上記のような不動産の権利を確保すべき事情がある場合に、何も対策を講じることはできないのでしょうか。

 

方法としては、法定相続分で相続登記をすることが考えられます。
これにより、不動産は法定相続人の共有状態となる登記を具備できます。


仮に、遺言で指定された相続人が遺言に基づき自らへの単独の相続登記をしようとしても、既に他の相続人の持分が登記されているので、他の相続人から協力を得るか(実印+印鑑登録証明書)訴訟で判決を得るしか方法はなくなります。

 

このような事案では当然訴訟に移行することが見込まれますから、訴訟が提起された後で、遺言無効や遺留分の主張をする時間的猶予が生まれます。

 

当事務所では、こうした相続の保存登記も提携している司法書士と連携して行い、その後の不動産の権利行使へとスムーズに移行することが可能です。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

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