2017.08.25更新

A男とB女が不倫をしたことが発覚し、A男の妻であるX女が慰謝料請求をする場合を考えます。

 

このとき、A男とB女は、X女に対して不法行為という権利侵害行為をしたということになります。

したがって、A男とB女は、2人で連帯してX女に対して慰謝料を支払う必要があります。

 

では、このとき、X女がA男に対してだけ、慰謝料請求を免除した場合、B女もその免除の効力を主張できるのでしょうか。

 

通常の連帯債務の場合は、免除の絶対効と呼ばれるものが認められているため、A男の責任割合に応じてB女の責任も免除されます。

つまり、仮にX女からA男とB女に請求できる慰謝料総額が200万円で、A男とB女の責任割合が50:50であった場合、A男に対する免除の効果として、B女の慰謝料も100万円になるということです。

 

しかし、最高裁はこの点を否定しています。

不貞行為による損害賠償債務は、単なる連帯債務ではなく不真正連帯債務であるとして、免除の絶対効を否定したのです(最高裁判所平成6年11月24日判決)。

 

要するに、仮にX女がA男に対して免除したとしても、B女には免除の効力が及ばす、依然として200万円の支払義務を負うということになります。

 

以上は理屈の問題でわかりやすくするために200万円と金額を固定しましたが、実際には、X女がA男を免除したという点をとらえて、慰謝料の金額を検討する際、マイナスの方向に傾くこともあるかと思います。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.07.05更新

お昼休みは、家から持ってきたおにぎらずと、コンビニで買った惣菜、インスタントみそ汁を準備して、デスクで手早く食事をとることが多いです。食事の合間に、ネットサーフィンをすることも多いんですが、こんな記事がありました。

 

「有名人の不倫醜聞の影響で慰謝料の相場が下がっている!?」(NEWSポストセブン)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170705-00000013-pseven-life

 

なかなか目をひくタイトルですね。

記事の内容はさておき、そもそも日本の慰謝料は低いのです。

芸能ニュースか何かでよく目につく、海外セレブの慰謝料やらなんやらは、お伽噺と言ってもいいレベル。

どんなに高くても慰謝料300万円というのが、法曹界のおおかたの共通認識ではないでしょうか。

 

1年間ほどかけて離婚訴訟で慰謝料を請求し、訴訟のなかで弁護士との打ち合わせ、書面作成、尋問の練習、法廷への出廷などなど、数えきれない時間をかけて慰謝料を手にしても、時給はマックのバイト以下、なんてことも珍しくもなんともありません。

 

そして私はあまり、こと不倫慰謝料に関しては、「相場」という言葉は使いたくありません。

交通事故など、ある程度客観的資料(赤本など)で基準があるものであればともかく、不倫慰謝料は気持ちの問題です。

結婚期間が何年で、どのくらい不倫していて、という相関式で数字がはじきだされるものではありません。

ましてや、訴訟になれば決めるのは裁判官、人間ですから。

 

さらにさらに、往々にして、不倫関係の当事者みんなに言えることでしょうが、訴訟にはしたくないというのが人情。

公開の法廷で聞かれたくないことあれやこれや聞かれるわけですから、当然です。

となると、ますます「相場」なんてものはなくなります。

 

決定打になるのは「どれだけ守るものがあるか」にかかっていると思っています。

訴訟になり、不倫が公知となることで知られては困る対象がどれだけいるか。夫、妻、親、子ども、職場、近所の人(後2者は訴訟=即広まるというわけではないでしょうが)etc。

慰謝料請求を受けた側が、既婚者で、お堅いお仕事で職場にも家族にも不倫の事実を知られては困る、ということになれば、高額な慰謝料を請求されても訴訟を避けるために応じざるを得ないことになるでしょう。

 

なので、慰謝料は「相場」を語れるものではない、と思うわけです。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.02.13更新

日弁連の提言による、新算定表をご存じでしょうか。

従来、裁判所でも、ある種の基準として「算定表」を使用していました。

権利者と義務者(要は夫婦双方)の収入を組み合わせて、養育費や婚姻費用の金額を示せる便利な表となっているのですが、「安すぎる」との批判が多く寄せられていました。

 

そんななか、登場した新算定表はこれです。

日弁連のHPに無料で公開されています。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/161115_3.html

↓直接、表を見たい方はこちら↓

www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2016/opinion_161115_3_01.pdf

 

従来の算定表よりも1.5倍は金額が跳ね上がると言われています。

私は実際の調停の場で新算定表を使用したことはないのですが、日弁連が公開したのが昨年の11月ですから、存在が知られるまでもう少し時間はかかりそうですね。

昨年末の公開直後の時点では、裁判官や弁護士の調停委員はその存在を知っていても、調停委員のなかには「新算定表」の存在すら知らない方もいたようです。

 

 

 

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2016.07.12更新

夫が女性Aと不倫しているのが、ある日、妻に発覚しました。

妻は果敢にも(?)、女性Aに会いに行き、

「もう二度と夫には会わない。万が一、連絡をとったり、会ったりしたときは、違約金として1000万円支払う。」

という誓約書を女性Aに書かせました。

 

その後、しばらくして、またも夫と女性Aが連絡をとっていることがわかりました。

さて、妻は、誓約書に基づいて1000万円を請求できるのでしょうか。

 

一般論として、不貞の慰謝料の金額が1000万円近くになることはほぼありません。

それにもかかわらず、誓約書に書いていれば1000万円満額を請求できるのでしょうか。

 

この点、裁判例のなかには、1000万円はあまりにも多額であるとして、150万円を超える部分は公序良俗に反し無効と判断したものがあります。

 

では、違約金はいくらなら無効にならないのか。

 

同じ裁判例は、理由中の判断で、面会・連絡等禁止条項違反の場合は、態様が悪質であってもせいぜい50万円ないし100万円程度、と言及していますので、参考になります。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2016.06.19更新

妻が不倫しているようなので、興信所を使って証拠をおさえたい。

とにかく確実なものをできるだけ多くと考えているので、1週間くらい妻を徹底的に尾行して調査してもらうつもりだ。

その費用は当然、妻に請求する。

 

さて、本当にそれで大丈夫でしょうか。

 

不貞行為の証拠をおさえることができた場合、興信所の費用も、損害賠償請求のひとつとして請求することが考えられます。

ただ、請求できる費用は、訴訟提起にあたり立証のために必要とされる限度のみ。

過剰な費用をかけたところで、それを全額損害賠償として認めてもらえるとは限りません。

 

経済的に余裕があるのでない限り、興信所の利用も慎重に見極めるべきかと思います。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2016.06.18更新

既婚者の男性と不倫し、それが奥さんの知れるところとなり、奥さんから不貞慰謝料を請求された。

奥さんは弁護士に依頼したようで、請求金額は500万円と書いてある。

この金額は妥当なんだろうか・・・。

このような相談を受けることも多いです。

 

不貞行為による慰謝料に、いわゆる「相場」はあるのでしょうか。

 

そもそも慰謝料は精神的苦痛を金銭的に補てんするという性質のものです。

精神的苦痛は人それぞれなのですから、「相場」などという言葉を持ち出すのは本来違和感があります。

ただ、一般的な裁判例をみると、このくらいの金額が多いでしょうというラインはあります。

あくまでも一般論としてですが、奥さんが離婚するまでに至ってしまった場合、150万円から200万円の慰謝料が認められていることが多いようです。

 

ただ、慰謝料は個人差。

不貞行為の態様、頻度、期間、積極性といった悪質性、

他方で、不倫相手の男性と奥さんの婚姻期間や婚姻生活の状況

 

などなど、さまざまな事情を考慮して判断されます。

一般的な認定金額は述べたとおりですが、それを超える金額が認定される可能性も十分にあります。

詳しい事情を弁護士に相談されることをおすすめします。

 

 

 

 

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2016.06.16更新

婚約破棄され、損害賠償を請求し得るというのは、テレビ番組などで情報が広まり、一般の方にも知られるようになりました。

 

ただ、ひとことで婚約と言っても、法的に保護されるレベルとそうでないものがあります。

裁判所でそれなりの損害賠償を認めさせるためには、客観的に婚約成立と言えるだけの状況と証拠が必要です。

 

たとえば、婚約指輪をもらう、両家の両親の顔合わせをする、結納をする、結婚式場を予約する、新居の契約をする、などなど結婚に向けた具体的行動です。

特に、式場を予約したり新居の契約をしていたりすると、財産的損害が発生しますので、慰謝料とは別に財産的損害賠償が認められる可能性が高くなります。

 

このように、単に、「結婚しよう」という口約束だけでは婚約成立を立証するのは困難です。

 

とはいえ、ずっと同棲していて、そろそろ婚姻届でもだそうかな。

だけど結納もしない、結婚式もあげない、両家の親には事後報告で・・・

というようなカップルが増えている昨今、裁判所の考え方も変わってくるのかもしれません。

 

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2016.06.14更新

婚姻中に夫婦でマンションを購入し、住宅ローンを組んだとします。

マンション、住宅ローンの名義は夫で、夫がローンを支払っています。

 

しばらくたって、夫婦が別居しますが、マンションに住んでいるのは妻で、妻が夫に婚姻費用を請求する場合を考えてみます。

 

算定表を単純にみると、婚姻費用が10万円であったとします。

他方、マンションのローンも月10万円です。

 

では、夫は、ローンを支払っているから婚姻費用はナシね、という主張ができるのでしょうか。

 

夫からすれば、自分が単身で住む家の家賃も支払って、妻が住むマンションのローンも支払って・・・となってしまいます。

また、算定表の金額のなかには、住居費も本来含まれているので、算定表で算出された婚姻費用に加えてローンも支払うとなれば二重払いになりかねません。

 

とはいえ、ローン相当額をそのまま婚姻費用から差し引く、という考え方は受け入れられづらいです。

ローン支払は確かに債務ですが、ローンの支払により夫はマンションへの所有権を手に入れます。

そのため、単純な二重払いとまではいえないのです。

 

この場合、どう処理するかというと、総収入(算定表でベースにする収入)の金額を調整することが多いです。

たとえば、総収入から住宅ローン支払額を控除した残額を総収入ととらえなおして、その数字をもとに算定表を使う場合があります。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2016.06.13更新

夫婦には、民法で協力義務、扶助義務が認められています。

そのため、夫婦が別居して暮らしている場合、互いの生活を助けるために経済的援助をする必要があります。

これが具体化したのが、一般によく知られている「婚姻費用」です。

 

では、たとえば、不倫をして出て行った妻にも、夫は婚姻費用を支払わなければいけないのでしょうか。

まったく悪いことをしていないにもかかわらず、お金も払わなければいけないとなっては、夫にとっては悪いこと尽くしのような感じがあります。

 

これについては、そもそも、夫婦間の扶助義務は、同居し協力する義務と表裏一体となって婚姻生活の基盤を形成するものであるとして、婚姻関係を破たんさせた配偶者から婚姻費用を請求することは、権利の濫用として許されない、との考え方を示した裁判例があります。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2016.06.09更新

年金生活者の夫婦で、離婚に向けて別居している。

そのような夫婦も、熟年離婚が増えているいま、多いのかもしれません。

 

年金生活者の場合も、算定表が一応参考になります。

ただ、そのまま適用することはなく、少し操作が必要になります。

 

算定表は、簡単にいうと、統計資料を参考にしながら、一般的な生活費等を収入から控除したものを、総収入とみなしています。

控除される生活費等のなかには、職業費といって、働いていれば必要な費用、たとえばスーツ代とか交通費などが含まれています。

年金生活者であればそれはかからないはずなので、本来控除すべきでない金額が総収入から控除されてしまっています。

 

そのため、年金生活者の場合に算定表をつかう際には、算定表で算出される金額より少し高い金額になります。

具体的な金額を知りたい方は、ご相談ください。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

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