2017.10.22更新

養子縁組も相続問題を複雑にすることがあります。

養子縁組をした場合、その養子の子は相続にどのように関係してくるのでしょうか。

 

わかりやすいように、具体例を考えてみましょう。

磯野藻屑源素太皆には、波平という子どもが1人だけいました。

波平は、フネと結婚しましたが、しばらく子どもに恵まれず、サザエを養子にとることにしました。

 

サザエは既にマスオと結婚し、タラオという子どもがいました。

波平とフネは、サザエとだけ養子縁組をし、タラオとは養子縁組をしませんでした。

 

波平とフネには、その後、カツオとワカメという2人の子どもに恵まれました。

 

それからしばらくして、サザエが亡くなり、しばらくして波平とフネも亡くなりました。

タラオは、祖父母の相続人は、サザエの子どもである自分と、カツオ、ワカメの3人であると思い込み、遺産分割協議を進めようとしました。

どうなったでしょうか。

 

この場合、タラオは、波平夫婦とサザエが養子縁組をする前に生まれていた子ということになります。

民法は、「被相続人の直系卑属」にあたらない場合には、「相続権を失った者の子」であっても、代襲相続を認めていません(民法887条2項)。

そして、養子縁組をした場合の血族関係は、「養子」と「養親およびその血族」とだけに生じるのであり、「養親」と「養子の血族」との間に生じるわけではありません(民法727条)。

 

どういうことかというと、養子縁組によって、サザエと波平・フネとの間には血族関係が生じますが、波平・フネとタラオとの間には血族関係が生じないので、タラオは「被相続人(波平・フネ)の直系卑属」にあたらない、つまり、代襲相続できないとういことです。

結果として、波平とフネの法定相続人は、カツオとワカメの2人だけということになります。

 

このケースが、波平夫婦とサザエが養子縁組した後にタラオが生まれたという場合であれば、話は別です。

養子縁組により波平夫婦とサザエに血族関係が生じており、サザエは波平夫婦の嫡出子としての身分を取得しますから、嫡出子の子であるタラオも当然、「直系卑属」となり、代襲相続できることになります。

 

養子縁組をした子の子はいつでも代襲相続できる、ということではありません。

身分関係に変動があった場合には、必ず、相続関係の整理が必要です。

 

 

(おまけ)

磯野藻屑源素太皆は、波平の父親ではないみたいです。

参考:サザエさん家系図

http://www.sazaesanitiba.com/kakeizu3.html

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.10.21更新

もう遺言もしっかり書いたから、相続争いなんて関係ない、と安心している場合も、油断は禁物です。

軽信していたがために、大問題になってしまいがちなケースをご紹介します。

 

波平とフネの間には、サザエ、かつお、ワカメの3人の子どもがいます。

サザエにはマスオという夫と、タラオという子どもがいます。

 

波平に先立たれたフネは、婿に入ってくれたマスオと孫のことを考えて、サザエに家を遺そうと考えました。

フネは、波平が亡くなった後、手持ちの現金もなかったので、ひとまず家のことだけを遺言に書くことにしました。

 

遺言には次のように書きました。

「台東区東上野3丁目17番8号に所在する、私の自宅の土地と建物は、サザエに相続させます。」

 

遺言を作成した3年後、不幸な事故で、サザエが急死してしまいます。

しかしフネは、3年前に書いた遺言があるのだから、家はサザエの子どもであるタラオが相続することになると思い込み、遺言を書き換えることなく、そのまま亡くなってしまいました。

 

さて、フネの遺産はどのように処理されることになるのでしょうか。

 

まず、被相続人であるフネの相続発生前に、推定相続人であったサザエが亡くなっているため、タラオは代襲相続人としてサザエの相続人としての地位を引き継ぎます。

したがって、法定相続分は、タラオ、かつお、ワカメが3分の1ずつということになります。

しかし、ここで重要なのは、家も3分の1ずつになってしまうということです。

 

フネが書いていた遺言は、あくまでも「サザエに」家を相続させる、という内容でした。

したがって、サザエが亡くなってしまった以上、その遺言は無効になってしまう可能性が高いのです。

もちろん、フネの遺言は、「フネが死亡する前にサザエが死亡した場合には、タラオに相続させる」という趣旨だったとの考え方が全くないわけではありませんが、そのような主張を裁判所に認定させるには、そのような「フネの意思」を推認させる証拠を集める必要があります。

かつおとワカメからの理解が得られなければ、家も3分の1ずつの相続分に従い分割することになるでしょう。

 

では、フネはどうするべきだったのでしょうか。

望ましいのは、最初に遺言を作成する段階で、「フネが死亡する前にサザエが死亡した場合には、マスオに、マスオも死亡していた場合にはタラオに相続させる」との文言を入れ込むことでした。

そうでない場合でも、サザエが亡くなった段階で、過去の遺言を再確認すべきでした。

 

遺言は一度書いたら以後もずっとそれで安心、というわけではありません。

定期的な見直しが必要なことを忘れないでおきましょう。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

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