2018.05.16更新

本日、高齢者住宅情報センター主催のセミナー

「良くわかる!成年後見制度 成年後見の受任事例から」のセミナー講師をつとめました。

 

成年後見や財産管理にまつわる相談事例に手を加え、身の回りのトラブルをわかりやすくお伝えさせていただいたつもりです。

おまけとして、最近注目されはじめて「家族信託」を利用した成年後見と遺言の代用システムについてもご説明しました。

 

成年後見、相続手続き、遺言、家族信託についてのご相談、セミナー講師のご用命はお気軽にご連絡ください。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.10.22更新

養子縁組も相続問題を複雑にすることがあります。

養子縁組をした場合、その養子の子は相続にどのように関係してくるのでしょうか。

 

わかりやすいように、具体例を考えてみましょう。

磯野藻屑源素太皆には、波平という子どもが1人だけいました。

波平は、フネと結婚しましたが、しばらく子どもに恵まれず、サザエを養子にとることにしました。

 

サザエは既にマスオと結婚し、タラオという子どもがいました。

波平とフネは、サザエとだけ養子縁組をし、タラオとは養子縁組をしませんでした。

 

波平とフネには、その後、カツオとワカメという2人の子どもに恵まれました。

 

それからしばらくして、サザエが亡くなり、しばらくして波平とフネも亡くなりました。

タラオは、祖父母の相続人は、サザエの子どもである自分と、カツオ、ワカメの3人であると思い込み、遺産分割協議を進めようとしました。

どうなったでしょうか。

 

この場合、タラオは、波平夫婦とサザエが養子縁組をする前に生まれていた子ということになります。

民法は、「被相続人の直系卑属」にあたらない場合には、「相続権を失った者の子」であっても、代襲相続を認めていません(民法887条2項)。

そして、養子縁組をした場合の血族関係は、「養子」と「養親およびその血族」とだけに生じるのであり、「養親」と「養子の血族」との間に生じるわけではありません(民法727条)。

 

どういうことかというと、養子縁組によって、サザエと波平・フネとの間には血族関係が生じますが、波平・フネとタラオとの間には血族関係が生じないので、タラオは「被相続人(波平・フネ)の直系卑属」にあたらない、つまり、代襲相続できないとういことです。

結果として、波平とフネの法定相続人は、カツオとワカメの2人だけということになります。

 

このケースが、波平夫婦とサザエが養子縁組した後にタラオが生まれたという場合であれば、話は別です。

養子縁組により波平夫婦とサザエに血族関係が生じており、サザエは波平夫婦の嫡出子としての身分を取得しますから、嫡出子の子であるタラオも当然、「直系卑属」となり、代襲相続できることになります。

 

養子縁組をした子の子はいつでも代襲相続できる、ということではありません。

身分関係に変動があった場合には、必ず、相続関係の整理が必要です。

 

 

(おまけ)

磯野藻屑源素太皆は、波平の父親ではないみたいです。

参考:サザエさん家系図

http://www.sazaesanitiba.com/kakeizu3.html

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.10.21更新

もう遺言もしっかり書いたから、相続争いなんて関係ない、と安心している場合も、油断は禁物です。

軽信していたがために、大問題になってしまいがちなケースをご紹介します。

 

波平とフネの間には、サザエ、かつお、ワカメの3人の子どもがいます。

サザエにはマスオという夫と、タラオという子どもがいます。

 

波平に先立たれたフネは、婿に入ってくれたマスオと孫のことを考えて、サザエに家を遺そうと考えました。

フネは、波平が亡くなった後、手持ちの現金もなかったので、ひとまず家のことだけを遺言に書くことにしました。

 

遺言には次のように書きました。

「台東区東上野3丁目17番8号に所在する、私の自宅の土地と建物は、サザエに相続させます。」

 

遺言を作成した3年後、不幸な事故で、サザエが急死してしまいます。

しかしフネは、3年前に書いた遺言があるのだから、家はサザエの子どもであるタラオが相続することになると思い込み、遺言を書き換えることなく、そのまま亡くなってしまいました。

 

さて、フネの遺産はどのように処理されることになるのでしょうか。

 

まず、被相続人であるフネの相続発生前に、推定相続人であったサザエが亡くなっているため、タラオは代襲相続人としてサザエの相続人としての地位を引き継ぎます。

したがって、法定相続分は、タラオ、かつお、ワカメが3分の1ずつということになります。

しかし、ここで重要なのは、家も3分の1ずつになってしまうということです。

 

フネが書いていた遺言は、あくまでも「サザエに」家を相続させる、という内容でした。

したがって、サザエが亡くなってしまった以上、その遺言は無効になってしまう可能性が高いのです。

もちろん、フネの遺言は、「フネが死亡する前にサザエが死亡した場合には、タラオに相続させる」という趣旨だったとの考え方が全くないわけではありませんが、そのような主張を裁判所に認定させるには、そのような「フネの意思」を推認させる証拠を集める必要があります。

かつおとワカメからの理解が得られなければ、家も3分の1ずつの相続分に従い分割することになるでしょう。

 

では、フネはどうするべきだったのでしょうか。

望ましいのは、最初に遺言を作成する段階で、「フネが死亡する前にサザエが死亡した場合には、マスオに、マスオも死亡していた場合にはタラオに相続させる」との文言を入れ込むことでした。

そうでない場合でも、サザエが亡くなった段階で、過去の遺言を再確認すべきでした。

 

遺言は一度書いたら以後もずっとそれで安心、というわけではありません。

定期的な見直しが必要なことを忘れないでおきましょう。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.08.10更新

85歳の波平さんには、さざえ、かつお、わかめの3人の子どもがいます。妻のふねは2年前に亡くなりました。

 

波平は、唯一の息子であるかつおにできるだけ財産を残したいと思い、さざえとわかめには遺留分を侵害しない分だけを、つまり6分の1ずつを相続させ、残りの財産6分の4はすべてかつおに相続させるとの遺言をしたためていました。

 

波平はそれだけでは足りず、死期をさとった頃から、200万円、300万円と高額なお金をかつおに少しずつ贈与することにしました。結局、波平は亡くなるまでに、合計2000万円をかつおに贈与しました。

そうすることで、まとまったお金を生前にかつおに渡す事ができ、相続が発生したときにも、さざえとわかめの遺留分を差し引いた分、遺産の大部分をかつおに相続させることができると考えたのです。

 

では、波平の相続が発生した後、果たして波平の思惑どおりに事は進むのでしょうか。

応えはNOです。

 

具体的に考えてみましょう。

 

波平の相続発生時、遺産としては預貯金3000万円のみでした(わかりやすくするため簡素化しています)。

すると、遺言書の割合どおりに相続すると、かつおが2000万円、さざえとわかめが500万円ずつ相続することになります。

 

一見すると、さざえとわかめの遺留分は侵害されていないように見えます。

しかし、法定相続人の「特別受益」に該当するような多額の贈与は、遺留分を算定する相続財産の基礎に加えるという扱いです。

 

具体的には、かつおが生前贈与を受けた2000万円を遺産に加算し、5000万円が本来の遺産なのだと考えます。

遺留分は5000万円を前提に算定しますので、さざえとわかめの遺留分権は833万3333円ずつ保証されています。

したがって、遺留分侵害額はそれぞれ333万3333円ということになります。

 

今回のケースは、遺産が現金だけだったので、かつおは生前贈与を受けた分、あるいは相続した預金のなかから遺留分減殺請求に対する価額賠償としてお金で解決することができます。

 

しかし、例えば多額の生前贈与を受け、その贈与金は既に使ってしまっており、遺産は自宅の不動産だけというケースではどうでしょう。

遺留分減殺請求に対応したくても、原資がなく、泣く泣く自宅を売却せざるを得ないことになりかねません。

 

安易な生前贈与は、税金面でも痛い目を見ますが、相続発生後に、受贈者に予期せぬ損害を与えることになりかねません。

十分な検討が必要です。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.08.09更新

度重なる相続により、不動産の共有関係が複雑化しているケースがあります。

 

もともと3代前のおじいちゃんが持っていた土地だったんだけど、お父さんの兄弟3人が3分の1ずつ相続して、さらにその兄弟のなかにも亡くなった人がいるから、さらに共有者が増えている。

あげくの果てには、そのうちの一部はよくわからないサラ金から借金していたのか、借金の代物弁済として持分をサラ金に譲渡してしまっている。

 

親族だけならまだしも、よくわからない業者まで共有者にいるのだと、このまま持分を相続するのも怖い。

 

こうした場合、確かに相続放棄すれば持分は相続しませんし、不動産の管理費用(固定資産税の清算など)も支払う必要がありません。

しかし、不動産が都市部に所在するなどそれなりの換価価値が見込める場合、すぐに相続放棄というのはもったいない気がします。

 

まずは被相続人に借金がないか調べることが前提ですが、借金を考慮しても余りある不動産の価値、ということであれば、相続した上で善後策を考えるのも手です。

 

不動産を共有している場合、話し合いで共有者のうちの一部が他の共有者の持分を買い取ったり、あるいは全員が共同で第三者に売却することができます。

なかには、こうした係争物件や持分を専門に取り扱っている業者もいるようです。

(この場合、通常のルートで市場に出すよりは安価になってしまうのはやむを得ないでしょう)

 

それでも話し合いが難しいケースですと、裁判所に、共有物分割訴訟を提起して、前記同様の解決を求めることができます。

裁判所は、不動産の占有関係などを考慮して、どのように共有物を処理すべきかを判断します。

 

売却により換価価値を配分するのが相当であるにもかかわらず、一部の共有者が同意しない場合は、裁判所から競売の判決を出してもらうこともあります。

弁護士が代理人に入っていると、競売の判決を一応保険で出してもらった後で、一般には競売にせず市場で売却したほうが高値で売れますから、判決を全体に、共有者を改めて説得して、市場で売却することも多いです。

 

なお、相続がからむ不動産を売却する場合、うかつな処理をすると予期せぬ税負担が膨らむことがありますので、税理士への相談は必須です。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.08.02更新

被相続人の債務を相続したくない場合、家庭裁判所に相続放棄の申述をすることで債務の相続を免れることができます。

相続放棄の期間は、民法により、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内と定めされているので、早めの手続が必要です。

 

では、お墓、位牌、仏壇などの祭祀財産についても、相続放棄をすることで承継することができなくなるのでしょうか。

 

民法は、被相続人の遺産をどうわけるかという「相続」の問題と、祭祀財産を誰が引き継ぐかという「承継」の問題とをわけて定めています。

つまり、祭祀財産は「相続」とは異なる次元の問題であり、遺産分割の対象とは原則ならないし、「相続放棄」できるものでもないと考えています。

 

したがって、仮に相続人が相続放棄をしても、その相続人が祭祀財産を承継し、お墓を護っていくことは可能です。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.07.24更新

不動産を相続人に相続させる、とした遺言がある場合、指定された相続人は、他の相続人の協力を得ることなく、単独で相続登記をすることができます。

そうすると、相続登記をした不動産は、所有権を第三者に自由に売却することができます。

 

仮にその不動産に、他の相続人が居住していたとしても同様です。
(もちろん、そのような不動産を買う人がいるのかというのは別問題です。)

 

遺言が実は無効なものであるとか、遺留分があるので不動産の持分があるとかの事情があったとしても、売却先がそういった事情を知らない限り、不動産を取り戻すことは原則できません。金銭解決ができるかどうかです。

 

では、不動産に居住している相続人としては、上記のような不動産の権利を確保すべき事情がある場合に、何も対策を講じることはできないのでしょうか。

 

方法としては、法定相続分で相続登記をすることが考えられます。
これにより、不動産は法定相続人の共有状態となる登記を具備できます。


仮に、遺言で指定された相続人が遺言に基づき自らへの単独の相続登記をしようとしても、既に他の相続人の持分が登記されているので、他の相続人から協力を得るか(実印+印鑑登録証明書)訴訟で判決を得るしか方法はなくなります。

 

このような事案では当然訴訟に移行することが見込まれますから、訴訟が提起された後で、遺言無効や遺留分の主張をする時間的猶予が生まれます。

 

当事務所では、こうした相続の保存登記も提携している司法書士と連携して行い、その後の不動産の権利行使へとスムーズに移行することが可能です。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.07.21更新

遺言書を作成していなくても、民法には法定相続人や法定相続分の定めがあります。
したがって、法律上の婚姻関係にある配偶者や子どもは、法定相続分や最低限遺留分が保証されることになります。



しかし、事実婚や内縁関係など、実態は夫婦に近しい関係の男女間や、同性婚、LGBTのパートナー同士については、民法に明記されていません。

したがって、パートナーに遺産を残したいと考えた場合、遺言書の作成が必須ということになります。

 


ただ、この場合も、法定相続人である遺族には遺留分が保障されており、遺留分の行使を防ぐことはできません。
すべての財産をパートナーに遺贈する内容で遺言書を作成する場合には、生命保険金の手配も同時に検討したいですが、親族関係にないパートナーを受取人として許容するかどうかは保険会社によって方針が異なるようです。



仮に、亡くなったパートナーの遺族と、残されたパートナーとの関係も良好で、遺産分けに遺族が同意したとしても、法定相続人でない以上は、「遺産分割」という手続で処理することができません。

 


法定相続人である遺族のみで遺産分割を完了させた後、残されたパートナーには贈与する形にならざるを得ないので、パートナーには多額の贈与税が課されてしまいます。


他方、遺言書でパートナーに遺贈すると明記していれば、相続税を納付することになるので、贈与税と比較すればはるかに税率は低くすみます。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.07.20更新

こちらでは、【終活】シリーズとして、遺族が相続を巡ってトラブルになりがちなことを解説しています。

 

遺言を書く、というのは、相続対策としてよく知られるようになりました。

しかし、何も考えずに中途半端に遺言を書いたとしたら、円満相続どころか、遺言の解釈をめぐってさらなるトラブルを招くことになりかねません。

 

中途半端な遺言になってしまう例は、やはり、残念ながら自筆証書遺言に多いように思います。

そのなかでも、自筆証書遺言を巡りかなり長期のトラブルになってしまった例を紹介します。

 

遺言者は不動産を何十件と所有していた地主で、子供も多くいました。

資産家ならではなのか、遺言を書かなければという意識はあったようなのですが、子供1人につき1枚の遺言を手書きし、それぞれの子供への遺産わけを試みました。

(このような遺言の書き方は、一部滅失の可能性を考えるとオススメはしませんが、内容に矛盾がない限りは一応有効です。)

 

いざ相続が発生し、遺言の内容を確認したところ、不動産の地番や地積が異なっている箇所が多くあることが判明しました。

子供同士が仲が良く、故人の意思をくみとってうまく話し合いできればよいのですが、そうでない場合には大変です。

不動産が特定されておらず、一部無効を争われる余地を生んでしまいます。

この場合、地番、地積の相違が遺言の効力にどう影響するかは、遺言書の他の土地の所有状況や、相続させようとした土地の性質など具体的な事案により異なります。

 

不動産を含む遺言を作成するときは、登記簿の記載に忠実に行うことは同然ですが、その後、分筆や区画整理などで登記簿の記載に変更があった場合にもしっかりと対応することが必要です。

登記簿の記載に忠実に、という意味では、弁護士などの専門家に依頼したり、公正証書遺言を活用することも考えられます。

 

遺言は、一度作ったからといってそのままにせず、定期的に内容の見直しを行うことが肝要です。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

2017.07.20更新

終活という言葉を当然のように聞くようになりました。

お墓を探したり、生前に葬儀プランを準備しておくことはもとより、相続対策に向けたセミナーなどもよく開催されているようです。

 

このカテゴリーでは、

【終活】争族を避けるために

と題して、多数の相続事件に弁護士として関わってきた経験をもとに、何がトラブルのもとになってしまうかを紹介していきます。

投稿者: 港区西新橋の弁護士 吉利 浩美

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